ホームインスペクション実施のタイミングと
当日の流れ

ホームインスペクション(建物状況調査)も2018年4月の宅地建物取引業法改正以降、不動産業者から買主様・売主様に対して戸建住宅と共同住宅に対してホームインスペクション(建物状況調査)の説明・斡旋(あっせん)が義務化され、実施される方も増えてきました。まだおこなったことがない方のために簡単にお申込みから当日の流れまでをご紹介します。

ホームインスペクション実施のタイミングとは?

戸建住宅も共同住宅(マンション)も購入希望のお客様や建物の状況を先に知りたいというお客様へは、売買契約の前に行い、状況を確認した上で、ご購入いただいたほうが納得いく売買取引につながります。

また築25年以上の物件だと、住宅ローン減税の対象から外れますがホームインスペクション(建物状況調査)をおこない、結果が適合であれば、かし保険ご加入後「付保証明書」が発行されるので、こちらの書類を住宅ローン減税の申請時にご利用いただくことが可能です。(耐震適合証明書と同じ効果があります。)そのような場合は、売買契約の後の引渡しまでの期間に建物状況調査をおこなうことも有効です。

税制に関する詳しい内容は、税務署や司法書士へご確認ください。

ホームインスペクション申込みの流れと
必要書類は?

検査申込みから検査結果の報告書送付まで約2週間かかります。かし保証利用希望の場合は、検査に適合したのち、かし保証を申込んでから保証書が発行されるまで約2~3週間かかりますので、引渡しまでのスケジュールを逆算して進めることが肝要です。また、検査結果が不適合となった場合でも、指摘箇所を補修工事した上で再検査を行い適合すれば、既存住宅かし保証に申込むことができます。この場合は補修工事にかかるスケジュールも引渡しまでの一連の流れに組み込む必要があり、売主様・買主様双方の調整が必要です。補修の際の費用を売主様・買主様のどちらが負担するかについては、きちんと調整をしないとトラブルになりかねません。

トラブルにならないために!(第6回)

建物状況調査で必要な書類は、①現地案内図、②住宅の間取りがわかる資料、③建築確認の年月日がわかる耐震性に関する書類(検査済証、台帳記載事項証明、耐震基準適合証明書など)ですが、マンション検査の場合は、こちらの資料に加え④長期修繕計画表・過去の修繕履歴の提出が必要になります。こちらの書類は、検査の省略規定というものがありご提出いただくことで、屋上の防水検査を省略することができます。

ただし用意ができない場合は、屋上に立ち入っての防水検査が必要となります。

また⑤かし保証を利用する場合は、検査済証の発行年月日が確認できる書類の提出が必要です(③で確認できる場合は不要です)

ホームインスペクション(建物状況調査) サービスの流れ

ホームインスペクション(建物状況調査) サービスの流れの図

かし保証を利用するための、検査の申込みに必要な書類

かし保証を利用するための、検査の申込みに必要な書類一覧

ホームインスペクションを行うメリットと
注意点について

【売主様】
あらかじめ「建物状況調査」を行うことで「売却後のトラブルを未然に防げる」というメリットもあります。さらに「検査済みだから安心して購入できる物件」であることをアピールできるので買い手が早く見つかる可能性もあり、売主様にとっては大きなメリットとなります。
 不動産会社の立場としては、調査の結果を受けて不具合の内容や度合いに応じてどう補修するかを売主様と相談・検討の上、例えば販売価格を調整したり、買主様への提案用に補修見積を取ったりするなどのフォローが必要となります。
【買主様】
従来、買主様と媒介契約を結ぶタイミングは、売買契約時と同時に取得されている不動産会社様も多いかと思います。しかし、このタイミングで「建物状況調査」の制度を説明し、買主様が調査を希望された場合、やはり買主様としては調査結果を確認した上で契約を結びたいと考えられる方が多くいらっしゃるかと思います。
 そうなると売買契約そのものが当日結べなくなってしまい、調査を終了し結果が報告されるまで取引はストップしてしまいます。
 このようなことにならないよう、できるだけ早いタイミング、例えば購入候補の物件が出てきた段階などで調査の説明や実施の要望などを確認しておく、また物件を紹介する際にも、その物件が調査済みの物件かどうかをあらかじめ確認しておくなど、いろいろとタイミングを図る必要が出てきます。

建物状況調査をおこなうメリット

売主様のメリットと買主様のメリット

ホームインスペクションの検査当日の流れ

ホームインスペクション(建物状況調査)は、国土交通省が定めた基準で検査を行います。木造戸建て住宅の場合、約50項目を検査し、検査報告書としてお渡ししています。詳細なチェックシートと現場写真に加え、具体的なアドバイスや意見をわかりやすく記載しています。売主様や買主様にもできるだけわかりやすいように建築業界用語を、なるべく簡単な言葉で記載しています。

【わかりやすい報告書】
検査結果は詳細なチェックシートと現場写真をわかりやすくまとめた「建物検査報告書」と「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」にてご報告します。

【検査対象項目】

(1)
構造耐力上主要な部分
(外壁、基礎、土台、柱および梁、床や内壁、バルコニーなど)
(2)
雨水の浸入を防止する部分
(3)
給排水管路(オプション)

実際の検査の流れ

検査方法は、目視から始まり、専門の器具を使用して詳細に行われます。

まずは外観を目視で確認し、外壁に生じるクラック(ひび割れ)の長さや幅を入念にチェックし、雨漏りの原因となりうる深刻なクラックがないか確認します。
簡単にはチェックできない軒裏付近などの外壁は、腐食して色が変わっていないかどうかを確認します。また、外壁のチェックをしながら、水道メーターや給湯設備の検査なども同時に行い、異常がないかどうかも確認します。

  • 住宅の外まわりでは、
    水道メーターもチェックします。
    [給排水管路(オプション)]

  • 外壁や基礎のクラックにはスケールを当て、
    長さや幅をチェックします。

外壁・外構チェックが終わると、次に住居内の検査へと移ります。ここでも目視の基本動作は変わりませんが、室内においては特に小屋裏点検口と床下点検口から入念にチェックします。

  • 住んでいても意外と知らない
    天井裏の点検口も検査します。

  • 床下点検口も検査します。

加えて、床のレベルや壁や柱の傾斜を専用器具を使って検査します。キッチン、トイレ、洗面、浴室は、すべて水を流して確認します。

  • レーザー水平器を使って傾斜の有無を
    検査します。

  • 水を流して確認します。
    [給排水管路(オプション)]

建物状況調査は目視等の非破壊検査で現在の住宅の状態を確認する検査内容になります。

しかし、検査をせずに不具合が出るまで放置してしまうと、不具合がでたときに高額な補修費用、もしくは大規模な補修工事になることを考えると、「必要経費」と捉え早めに検査をおこなったほうが安心です。

建物状況調査を行うことで、売主様・買主様の双方が安心して取引を円滑に進められるようになり、さらに購入後の思わぬ修繕による出費や、購入後見つかった不具合の補修費用のトラブルなどを未然に防ぐことができます。さまざまなメリットがある建物状況調査、早め早めに検査することをお勧めいたします。

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