中古マンションの売買時に
ホームインスペクション(建物状況調査)の必要性は?

中古マンションの売買が増えている背景

2018年4月1日の宅地建物取引業法改正以降、不動産業者から買主様・売主様に対して戸建住宅と共同住宅に対してホームインスペクション(建物状況調査)の説明・斡旋(あっせん)が義務化されました。

検査基準は、国土交通省が定める「既存住宅状況調査方法基準」に定められており、この中でマンションについても対象となっています。

法律にも盛り込まれ、認知度も高まっていき、建物状況調査を活用しての売買取引も増えていく中で特に都心部では、新築マンションが高額になり予算的に難しく中古マンションだと利便性も良く、割安でもあることが人気のひとつとなっています。

最近だと、リノベーションをする事業者も増え、新築並みのデザインや個人の希望によって内装・間取りも変えられ、中古マンションの売買は若い人や子育て世代のニーズも増えています。

もうひとつは消費税が8%から10%になったことで、個人間売買の場合は非課税になるので消費税の影響がないことも要因のひとつかもしれません。

区分所有マンションの検査ってどんなことするの?

建物状況調査は、専門知識を持ち国土交通省が定める既存住宅状況調査技術者講習を修了し、登録を受けた建築士がプロの検査員として建物の基礎・外壁などにひび割れや破損、雨漏り跡など建物の劣化状況を、目視および計測等による非破壊検査にて詳細を確認します。検査対象となるのは、既存住宅状況調査方法基準(平成29年国土交通省告示82号)に基づき、基礎・外壁など「構造耐力上主要な部分」と、雨漏り跡がないかなどの「雨水の浸入を防止する部分」、および給排水管路です。(※給排水管路検査はオプション)目視検査が主ですので、屋内の見えない劣化や不具合を発見できるものではありません。また住宅の性能を評価するものではありません。

マンション検査の場合も同じで、マンションの共用部分と専有部分(対象住戸)に劣化がないかの状況を確認する検査になります。

具体的にいうと外壁面に劣化がないか、エントランスや共用廊下等に劣化がないか、あとは屋上の防水の状況を確認します。特殊なことでいうと、コンクリートの圧縮強度調査があり、シュミットハンマー(リバウンドハンマー)という専用の機器を使い叩いて確認する検査をおこないます。

専有部分に関しては、室内の状態で雨漏りの跡がないか、などの確認をします。オプションとして専有部分の給排水管路の検査をします。

マンション検査をする際に注意すべきことは、共用部分が主な検査になりますので、検査員が外壁面・エントランスから廊下など移動しながら写真を撮ったりします。また屋上に入らなければいけない場合があり、施錠されているケースも多いため、必ず事前に管理会社・管理組合へ承諾をとって当日「誰だ!?」とトラブルにならないようにご案内をお願いします。

主な検査部位※以下はイメージです。建物の構造や工法、条件により検査項目や部位は異なります。

専有部内の床・天井・給排水管・バルコニー・共用廊下等 ※給排水管路検査はオプションです。
エントランス等共用部分内
屋上の防水層
建物の外壁・基礎・躯体部分

※マンションの検査は、一部共用部分の検査が含まれます。
検査日までに以下の検査について、管理組合または管理会社の承諾を得ていただく必要があります。

【共用部分の検査内容】

外壁の劣化状況の確認:外壁にひび割れや劣化などがないかを確認します。
コンクリート圧縮強度検査:共用部のコンクリートでのシュミット試験、
検査に伴い音が発生します。
屋上の防水検査:検査員が屋上に上がり、屋根の防水を確認します。

管理組合・管理会社向けの
ご案内資料サンプルはこちら

費用の目安は、不動産会社様にもよりますが、区分所有のマンションの場合は、5万円から10万円くらいとなります。

中古マンションのホームインスペクションの
検査タイミング

戸建住宅と変わりませんが、建物の状況を先に知りたいというお客様へは、売買契約の前に行い、検査を行った上で、ご購入いただいたほうが納得いく売買取引につながります。

また築25年以上の物件だと、住宅ローン減税の対象外です。ホームインスペクション(建物状況調査)をおこない、結果が適合であれば、かし保険ご加入後「付保証明書」が発行されるので、こちらの書類を住宅ローン減税の申請時にご利用いただくことが可能です。(耐震適合証明書と同じ効果があります。)このような場合は、売買契約の後でも引渡しまでの期間に建物状況調査をおこなうことも有効です。

注)税制に関する詳しい内容は、税務署や司法書士へご確認ください。

マンションのホームインスペクションに
必要な書類は?

建物状況調査で必要な書類は、①現地案内図、②住宅の間取りがわかる資料、③建築確認の年月日がわかる書類(検査済証、台帳記載事項証明、耐震基準適合証明書など)ですが、マンション検査の場合は、こちらの資料に加え④長期修繕計画表・過去の修繕履歴の提出が必要になります。こちらの書類は、検査の省略規定がありご提出いただくことで、屋上の防水検査を省略することができます。

ただし用意ができない場合は、屋上に立ち入っての防水検査が必要となります。

また既存住宅売買かし保険に加入する場合は、⑤検査済証の発行年月日が確認できる書類の提出が必要です。(③で確認できる場合は不要です)

検査の申込みに必要な書類

検査の申込みに必要な書類一覧

マンションのホームインスペクションの
報告書の見方

検査結果は、検査後約1週間で、詳細なチェックシートと現場写真をわかりやすくまとめた「建物検査報告書」と「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」にてご報告します。※データ納品となります。

報告書は、実際に劣化事象が出た場合、その劣化の内容をご確認してください。劣化箇所については、写真を添付して詳しく記載しています。そちらをチェックして劣化事象を中心に、買主様・売主様へご案内してください。

建物状況調査報告書サンプルはこちら

マンション結果概要はこちら

最後に

マンションは、戸建住宅とは違い基本的には管理会社や管理組合が存在します。長期修繕計画表が作成され、所有者は修繕積立金を払い定期的に点検やメンテナンスをおこなっているので、管理状況は良い場合が多いです。しかし物件によっては、内見をされた際に共用部分に気になる劣化を見つけてしまったり、中古マンションの購入自体に不安に感じてしまう方もいらっしゃいます。その場合はマンションの管理組合へ修繕積立金の状況や入居率などを確認し、さらに+α(プラスアルファ)で建物状況調査をおこなうことで不安を拭え、安心し納得いただけるのではないでしょうか。

また築年数が古いマンションの場合だと、建物状況調査を行い、かし保険に加入することができれば、住宅ローン減税等の税制優遇にも利用できます。

ぜひ、気に入った物件をご購入いただくためにも中古マンションの売買時は、建物状況調査をご検討ください。

建物状況調査は登録事業者向けサービスです。
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