耐震診断とは?地震大国・日本で求められる調査の重要性と費用

耐震診断とは?

耐震診断とは、お住まいの耐震性に不安がある方のために、住宅の耐震性能を診断するサービスです。

耐震診断をおこなうタイミングは?

  • 住宅の築年数が経過したとき
  • 地震が起こった後、自分の家が不安になり確認したいとき
  • 増改築の前に性能をしっかり調べたいとき
  • 耐震補強工事に関する補助金を受けたいとき
  • 自宅の売却を検討しているとき

また最近では、中古住宅を購入する際に、購入する家の耐震性が知りたいという要望、築年数を経過した住宅で税制優遇を受けたいからというニーズも増えています。

また建物状況調査(住宅インスペクション)で家の劣化状況を把握すると同時に耐震診断もやりたいというお客様もいらっしゃいます。

耐震性とは?

住宅の耐震性能は新築時のまま保たれるわけではないことは、意外と知られていません。例えば柱がシロアリに喰われて腐食してしまったり、雨漏りで躯体の耐久性が衰える、壁面のひび割れなどの経年劣化などで性能は日々変わっていくものです。元々の設計性能と、現在の劣化状況をかけあわせて耐震性能は変化します。

分譲マンションなどではこの経年劣化を防ぐため、「長期修繕計画」というある程度長期間にわたっての補修の計画が組まれ、定期的に補修工事を行うために居住者みんなでお金を計画的に積み立てているのが一般的です。戸建住宅で修繕のための積み立てを行っている方はあまり多くないのが現状ですが、本来はマンションと同様に定期的にメンテナンスを行うのが、耐震性の面からみても望ましい形です。

耐震診断の重要性

耐震診断の結果に基づいて、必要な箇所に適切な補強をすることで、長く安心して住むことができます。また耐震性能が現行の耐震基準に適合している場合は、耐震基準適合証明証を発行することができますので、築年数が経過した住宅の購入者に対して税制優遇などのメリットを付与できます。

どんな住宅に耐震診断が必要?

わかりやすい目安として、木造住宅の場合であれば「着工が2000年(平成12年)以前」かどうかがひとつの基準となります。

2000年には建築基準法改正に加え、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が施行されました。きっかけとなった阪神淡路大震災では、「新耐震基準」(1981年(昭和56年)6月1日に施行となった建築基準法)で建てられた建物にも、倒壊してしまったものがありました。これらは住宅地盤の対策不足や耐力壁の不足・バランスを欠いたもの、あるいは接合部分の不良など、現行の法律では不十分だった点を踏まえ、住宅の性能を一定基準超えたものにするため、2000年に施行・改正がおこなわれたのです。

「新耐震基準だから大丈夫」ではない

1981年6月~2000年5月までに着工された木造建築の耐震診断結果は、約83%が「耐震性に問題あり」というデータもあります。(引用:木耐協「木造住宅の耐震診断に関する調査データ」)これはすなわち、新耐震基準に適合している建物でも、8割以上が2000年以降の現行の耐震基準を満たしていない可能性があるという意味です。

特に病院や体育館のような公民性のあるものはもともと非常に高い耐震基準で作られ、また定期的にメンテナンスされているのに対し、木造住宅は一般的に建築基準法で定められた基準を満たすのみで、かつメンテナンスの頻度も低いことが多いので、不安がある場合は専門家による耐震診断を受け、補強工事などで地震に対する備えを強化することをお勧めします。

後述しますが、耐震診断・耐震補強工事にはお住まいの自治体の助成制度を利用できることもあります。

耐震診断の方法と調査項目、費用

国土交通省は、耐震診断のガイドラインとして、次の3つのステップを定めています。

1
所有者における耐震診断(セルフチェック)
2
一般診断(図面と現地調査を用い、建築士などの専門家がおこなうもの)
3
精密診断(耐震補強工事を前提とした、より精密なもの)

一般診断と精密診断では実施する際に必要な技術が異なります。精密診断は耐震補強工事を前提とし、実際に建物の壁などを壊し、柱などの状態を確認しながら診断を行う(破壊検査)ため、修復や補強も含めた施工技術のある会社(工務店など)がおこなうのが一般的です。費用はおこなわれる工事の内容や規模によって大きく異なり、数十万円以上かかることも多くあります。

対して検査会社であるジャパンホームシールドで提供しているのは、木造住宅の「一般診断」です。費用の相場としては、一般診断は現地調査含めて10万円前後と安価なのが特徴です。

現地で壁などを壊す精密診断に対して、一般診断は建築図面と現地の劣化調査から診断を行う非破壊検査となります。そのため耐力壁の位置などが記載された詳細な建築図面がないと診断をおこなうことが出来ません。旧耐震基準で建てられた住宅の中には、診断に必要な図面が残っていないケースも多く、設計図書等の図面がないと柱・筋交いの有無などがわからず、構造計算が不可能となり診断ができないのでご注意ください。設計図書がない住宅でどうしても耐震性を確認したい場合は精密診断をおこなうことになります。

耐震診断の流れ

■耐震診断の流れ

お申込み
現地調査・耐震性の診断
診断結果のご報告

■耐震診断の流れ

耐震診断書の見方

現行の耐震基準に対して結果は一番端的に分かるのが「総合診断書」ページの「上部構造評点」。耐震性を4段階に分けて評価しています。

また後半には、診断した結果を踏まえての補強計画も添付しております。なお、耐震診断における耐震等級は、情報信頼度指数における条件によって数値が変動します。ご希望によって地震に対する強さの補強計画を立てることもできます。詳しくはお問い合わせください。

耐震診断で受けられる補助金

全国の自治体で、耐震診断や耐震改修工事を実施する際の補助事業(補助金制度)が実施されています。
条件は各自治体や年度ごと、また建物の規模や築年月などにもよって異なりますが、数万円から補強工事では数百万円の補助を受けられるケースもございます。申込み方法や補助金の対象基準については、各自治体にお問い合わせをお願いいたします。例えば、東京都中央区では「旧耐震基準で建築された木造建築物」に対して耐震診断に係る全額を限度額なしで補助。高齢者がいる世帯に関しては、耐震補強工事も限度額300万円まで補助がつくようです。(参考:東京都中央区HPより(2020年6月25日更新)

※補助には一定の要件があります。詳しくはHPにてご確認ください。

まとめ

  • 地震に対する備えのために行う「耐震診断」2000年以前に着工された建物には、地盤や耐力壁のバランスなどに問題を抱えている可能性があるので、不安でしたら耐震診断のご利用をお勧めいたします。耐震診断の結果、適切な補強をすることで長く安心して住むことができます。
  • 1981年~2000年の「新耐震基準」で建てられた建物でも安心できない。この時期に作られた約8割の木造建築物が、耐震性に不安があるというデータがあります。
  • 専門家が行う「一般診断」と「精密診断」の違い建築士など専門家が設計図書などの図面と現地調査をもとにおこなう「一般診断」と、構造のさらなる確認のため壁に穴をあけるなど、耐震補強工事を前提におこなわれる「精密診断」に分かれます。ニーズに合わせて検査会社・工務店などにご相談ください。
  • 耐震診断・耐震補強工事には補助金支給の可能性ありお住まいの自治体により基準や申込み方法が異なりますので、各自治体の窓口(建築指導課など)にご確認ください。

公開日:2019.05.10

更新日:2021.02.10

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