箱根ジオパーク「火山活動が作った雄大な景観」
箱根は古くから温泉地として親しまれ、現在も国内外から多くの観光客が訪れる人気のリゾート地です。火山の麓には湖や湿原などの景色が広がり、四季折々の自然に彩られるその姿は、訪れる人の目を楽しませてくれます。
プレートの衝突が形成した大地
今から約700万~ 500万年前、フィリピン海プレートと北米プレートが衝突し、その境界上に伊豆・箱根地域ができました。
この地域の中心にある箱根火山は、北側に広がる足柄山地・丹沢山地をはじめとするフォッサマグナ地域と、南側に連なる伊豆半島から伊豆・小笠原諸島の境界で、南北に延びる天然の障壁となっています。

日本周辺の地質背景(隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会提供)
火山活動が形成した箱根の雄大な景観
さらに、箱根火山は数十万年前から繰り返される噴火で形づくられてきました。今から約40万年前から23万年前にかけて、繰り返す噴火により火山群ができました。

箱根火山の成り立ち 出典:日本地質学会地学教育委員会編(2007)『国立公園地質リーフレットたんけんシリーズ1 箱根火山たんけんマップ―いま生きている火山―』©一般社団法人日本地質学会
これ以降も、火山群の中心で大規模な噴火が何度も起き、カルデラを形成。その周囲が南郷山や幕山などの外輪山となりました。また、この時期には外輪山の山腹での噴火が活発になり、真鶴半島もできました。

外輪山 鍋底状のカルデラ地形を示す火山体において、カルデラの縁をなす峰々の連なりを外輪山といいます。
約8万年前からは、爆発的な噴火が何度も起き、新しいカルデラを形成します。約6万5千年前に発生した火砕流の噴出物は東京軽石と呼ばれ、南関東一円の広い地域に堆積しています。
そして、約3千年前の噴火では、現在の私たちにも馴染み深い箱根の風景が形成されました。噴火によって神山の一部斜面が崩れ、その土砂が早川をせき止めてできたのが芦ノ湖です。
崩れた斜面は温泉で有名な大涌谷になりました。現在は硫化水素を含んだ独特の匂いが立ち込め、自然の力強さを間近に感じられる景勝地として人気を博しています。

箱根火山:大涌谷

JHS LIBRARY 編集部

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