2018.07.01ジオパーク紀行

三陸ジオパーク「海と大地の鼓動を刻む」

 

天の川と三王岩   写真提供:  第2回藤田弘基写真コンテスト入賞作品(撮影/阿部洋一)

青森県八戸市から岩手県を縦断し、宮城県気仙沼市まで南北約220㎞、東西約80kmのエリアに広がる日本最大のジオパーク。海岸特有の自然景観など48の見所を持つジオの宝庫です。今回は北部エリアを中心に、三陸ジオパークの杉本伸一さんにご案内いただきました。

自然の力の造形美「浄土ヶ浜」

自然の力の造形美「浄土ヶ浜」

自然の力の造形美「浄土ヶ浜」

江戸時代、「さながら浄土のごとし」と霊鏡和尚(れいきょうおしょう)が感嘆したことから名付けられたといわれる「浄土ヶ浜」。三陸を代表する景勝地のひとつです。

切り立つ白い岩肌と青く澄んだ海、そこに緑の松林が添えられ、日本らしい自然の造形美を感じることができます。

なかでも、ひときわ目を引く白い岩。この岩の正体はマグマが冷えてできた流紋岩です。

約5200万年前、恐竜が絶滅した後の時代、マグマが上昇し、地表近くで鏡餅のような形に固まりました。その後、地殻変動により地盤が隆起し、永年の波や風の侵食を受け、現在の景観が作られたといわれています。

写真提供:PIXTA

岩肌には、マグマが冷却固結する時にできる柱状の割れ目(柱状節理)以外にも、マグマが流れた模様(流理構造)が残っています。模様をじっくり観察すると、遥か昔、岬全体が鏡餅のように丸いマグマだったことが窺えます。

穏やかな波音とウミネコの鳴き声が聞こえるこの浜では、ゆったりとした時間が流れています。ところが夏になると風景は様変わり。海水浴を楽しむ多くの人で賑わう場になるそうです。

 

三陸の魅力を解説!

北部は、海底の堆積物や海かいざん山などがプレートに乗って移動し、大陸に付加したものからできています。 地質には、放散虫が深海に堆積した岩石(チャート) や海底火山から噴き出たマグマ、サンゴなどからで きる石灰岩などさまざまな海洋堆積物が混在して います。 南部は、およそ5億年前、現在の赤道付近にあったゴ ンドワナ大陸の一部でした。マグマの活動が活性化 し、南部北上山地を含む地域がやがて分離。赤道付 近を移動し、今の位置までやってきたのです。サンゴ などからできる石灰岩が多く見られるのも、暖かい海 でできた大地であることを物語っています。 赤道 地球 ゴンドワナ大陸 早はやちね池峰山周辺を境に北部と南部で大地のなりたちが大きく異なります。 そして、1億数千万年前、北三陸と南三陸が出会いました。 三陸の誕生です!日本列島が形成されです。、宮古市を境に、 北部と南部で海岸線の形やなりたちが異なります。北部の海岸は直線的な海食崖が発達しています。かつて海底でできた 地面が盛り上がってできました。内陸まで続く海成段丘は、この平坦面 が隆起や海水面の変動で地上に現れたものです。 海成段丘ではこの平坦な地形を活かし、牧畜や放牧が盛んで す。アイスクリームやヨーグルト、お肉などに加え、海女さんが 採ってくれるウニやアワビの海の幸にも恵まれています。 波が穏やかなリアス海岸の湾内は、カキなどの養殖が盛んです。 南部はリアス海岸が発達しています。河川の侵食で大地が削られ、山 と谷が繰り返す険しい地形ができたところに、氷河期が終わり、氷河 が溶け出して海水面が上昇しました。すると、かつての谷に海水が入り 込んで入り江となり、山は岬へと変わりました。

Pick up!

久くじこはく慈琥珀(岩手県久慈市) 久慈市は国内最大の琥珀の産地 です。 Q琥珀って何? 琥珀とは、樹木が出す樹脂の化石 のことです。久慈市では、恐竜が 生きていた白亜紀の琥珀が産出さ れます。龍りゅうせんどう泉洞(岩手県下関伊部岩泉町) 日本三大鍾乳洞のひとつ。山の麓 に位置していますが、かつては海 の底でした。世界有数の透明度を 誇る地底湖の美しさは必見です。 Qなぜ青いの? 光の構成色(虹の七色)の中で、 青色だけが水に吸収されず、様々 な方向に散らばり私たちの目に届 くからです。三さんのういわ王岩(岩手県宮古市) 1億年もの歳月をかけて 海風と波が三王岩を形作 りました。砂岩・礫岩の水 平の縞模様(宮古層群)が 特徴的ですが、太鼓岩の 縞模様の向きが他とは異 なるため、転げ落ちたので は?と考えられています。 Qなぜ変わった形をして いるの? 奥の崖の地層構成と同じ ことから、元々は一帯が繋がっていたことがわかります。三王岩だけ が侵食を受けながらも残され、今の形になったといわれています。震 災にも耐えた岩塔です。

写真提供:PIXTA(三王岩)

もっと知りたい!

「豊かな海があるからこの地に暮らす」 三陸ジオパークオフィシャルWebサイト Pick up ! もっと知りたい! http://sanriku-geo.com/ 三陸の大地に刻まれた震災の記憶を辿りながら、杉本さんは話します。 「三陸の人は、この美しい大地と海がやっぱり好きなんです。海の幸も美しい景観も、この三陸の大地 だって地殻変動と海がつくったものなんですよ。昭和三陸津波の碑 (昭和8年) ・ 大地震の後には津浪が来る ・ 大地震があったら髙い所へ集まれ ・ 津浪に追はれたら何処でも髙い所へ ・ 遠くへ逃げては津浪に追い付かる 常々逃げ場を用意して置け ・ 家を建てるなら津浪の来ぬ安全地帯へ。チリ地震津波記念碑 (昭和35年) 地震がなくとも 潮汐が異常に退いたら 津波が来るから 早く高い所に避難せよ。

 

 

 

 

 

 

 

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