2018.01.01ニッポンの地盤解説

「地質現象の交差点」姫川流域の多種多様な岩石

糸魚川-静岡構造線の最北部にあたる姫川流域は、色々な時代・色々なでき方の岩石が見られます。地質学的に面白い場所である糸魚川について、ジャパンホームシールドの吉井孝文が解説します。

姫川流域の多種多様な岩石

写真提供:amanaimages 糸魚川市空撮

文=吉井 孝文(よしい たかふみ)

姫川流域には飛騨外縁帯と呼ばれる古い地質帯があり、日本列島がアジア大陸の一部だった時代の地質を引き継いでいます。その中からヒスイや蛇紋岩、石灰岩が見つかります。

これだけでなく、他にも多種多様な岩石を見ることができますが、それはこの地域が日本列島・日本海が誕生するための様々な地質現象に関わったからなのです。

 

日本列島の形成史  

平朝彦『日本列島の誕生』(1990)岩波新書をもとに作成

7000万年前

❶約7000万年前:まだ日本列島はアジア大陸の一部分。

今から1億~7000万年前、まだ日本列島がアジア大陸の一部分だった頃、地中深くのマグマ活動により花崗岩が生まれ、日本列島の骨格になりました。

 

 

 

 

 

 

 

2500万年前

❷約2500万年~1900万年前:大陸の淵が避け、太平洋の海水が流入。

その後、2500万~1400万年前の間に、アジア大陸が割けて日本海が生まれました。この地殻の動きに押されるように日本列島がほぼ今の位置までやってきたと言われています。 この列島の移動にともなう地殻変動によって変成岩などの様々な岩石が生まれました。

 

 

 

 

 

1400万年前

❸約1400万年前:北東日本が反時計回りに25度、西南日本が時計回りに45度回転しながら、日本海が拡大した。

日本海の形成が終わる頃には、今の東北から北陸地方にかけて海底火山が帯状に活動を始め、グリーンタフという凝灰岩が生まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

300万年前

❹約300万年~180万年前:日本列島で隆起が始まった。

さらに日本列島の中で隆起が始まると、日本海側を埋め立てるように内陸側から土砂が流れ込み、砂岩・泥岩などの堆積岩が生まれました。

糸魚川—静岡構造線周辺では、こうした過去の活動に加え、現在もプレートの衝突境界として変動が続いています。また、地中深くにはかつてのプレート境界でできた変成岩が眠っています。

以上のように、さまざまな地質現象が一所で起こっている姫川流域は地質現象の交差点と言ってもいいでしょう。

 

 

岩石の形成場

フォッサマグナミュージアム『地底から来た石たち』をもとに作成

 

ちなみに、「蛇紋岩」と聞くと、建設関係の方は、地すべりなどの災害が頭をよぎるかもしれません。今では使用が禁止されているアスベストも蛇紋岩が原料でしたので、これも気になるかもしれません。しかし、蛇紋岩は有用な工業原料でもあるのです。たとえば、製鉄時に不純物を取り除く材料などに使われています。私たちの生活に無くてはならない岩石といえるでしょう。

 

吉井さん四角

吉井孝文(よしい たかふみ)

技術士(応用理学部門:地質)

地盤品質判定士 

2006年ジャパンホームシールド株式会社に入社、日本全国の住宅地盤の安全性評価業務に携わる。2011年より同社地盤技術研究所研究員、現在に至る。

趣味:気になる地形をバイクで見に行くこと。バイオリン。

 

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JHS LIBRARY 編集部

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