2017.11.06地盤 , 地盤調査・解析

地盤調査結果に見られるN値とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

住宅を建てる前の地盤調査では、建物の荷重にどれくらい耐えられるかをしっかり調べておきたいものです。地盤の強さ(支持力)は地盤調査により評価が可能となります。

 

そこで今回は、地盤調査の結果を表すN値や換算N値、そして建物との関係性についてご紹介します。

 

 

「N値」とは?「換算N値」との違いは?

地盤の強度を表す数値として「N値」がありますが、一般的な戸建て住宅の地盤調査では「換算N値」を基準として地盤の判断をすることが少なくありません。まずは、双方の違いについてご説明しましょう。

 

 

 

 

 

 

N値とは?

N値とは、土の締まり具合や強度を求める基準となる数値です。標準貫入試験によって求められるため、標準貫入試験値とも呼びます。

 

標準貫入試験とは、測定用の鉄棒器具の先端に取り付けた63.5kgのおもりを、76cmの高さから自由落下させる試験です。土中のサンプラーを30cm貫入させるまでに要した打撃の回数が、「N値」となります。一般的にはボーリング調査とも呼ばれています。

 

この数値が高ければ高いほど、土に締まりがあって重い建物に耐えられる地盤であることを意味します。

 

換算N値とは?

換算N値とは、簡易な地盤調査の手法として定着しているスウェーデン式サウンディング試験の結果から求められる数値です。土質によって異なる換算式を用いて、地盤の強度であるN値を推定します。

 

 

スウェーデン式サウンディング試験からN値への換算式

砂質土:換算N値=2Wsw+0.067Nsw

粘性土:換算N値=3Wsw+0.050Nsw

 

「Wsw」は荷重(おもりの重量)、「Nsw」は貫入量1m当たりの半回転数を表します。スウェーデン式サウンディング試験から算出された換算N値は、標準貫入試験での打撃回数N値に相当する測定値として扱われます。

 

スウェーデン式サウンディング試験を標準貫入試験と比較すると、「安価・短時間・狭い範囲で行える」といったメリットがあります。そのため、戸建住宅などの小規模建築物においては換算N値をもちいることが多いのです。

 

▶ジャパンホームシールドの地盤調査についてはこちら

 

建築に必要なN値はどのくらい?

建築に際して、どれくらいのN値であれば問題ない地盤と言えるのでしょうか。その基準は土質やロケーションによって異なりますが、弱い地盤は地盤改良工事が必要です。調査結果に特に問題がなければ、N値5以上であれば一般住宅の建築は可能な場合が多いと言えます。ただし、新しい盛土や腐植土などの特殊な土ではN値が大きくても地盤改良工事が必要になる場合があるため注意が必要です。

 

 

 

 

地盤の強さを表す「長期許容応力度」

地盤の破壊に対する強さを示す数値が「長期許容応力度(qa)」で、単位は「kN/㎡」です。この大きさによって建設省告示により基礎の仕様が規定されており、建築物にとって非常に重要な数値とされています。また、日本建築学会の「小規模建築物基礎設計の手引き」を参考にすると、N値からおおよその長期許容応力度を確認できます。

 

ただし、N値は主に地盤の強度を示す数値で土質までは分かりません。あくまで判断の目安としましょう。

 

▶ジャパンホームシールドの地盤調査についてはこちら

 

おわりに

今回は、地盤調査の結果を表すN値や換算N値、そして建物との関係性についてご紹介しました。地盤の強度はN値によって推定できます。地盤調査でN値が基準値を下回っていれば、地盤改良工事などの対策が必要です。また、住宅選びの際に地盤改良工事が必要かどうかは土質によっても変わるため、土質も併せて意識するようにしましょう。地盤の安全性を確認する上で重要な数値となるN値を意識してみると良いかもしれません。

 

▶ジャパンホームシールドの地盤調査についてはこちら

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
The following two tabs change content below.
Avatar photo
ジャパンホームシールドは戸建住宅の地盤調査・解析、構造設計、住宅検査を手掛ける企業です。 年間10万件を超える地盤調査・解析実績は国内No.1。 住まいの安全・安心を追求し、住まいづくりに役立つ情報を発信いたします。

地盤調査結果に見られるN値とは?」への2件のコメント

  1. お世話になります。地盤調査でN値が5以上有れば一般的な住宅建設が可能と記載してありますが、層厚みは、何メートル以上が必要ですか。N値と土の状態表では、砂質土のN値5だったら、N値4~10(ゆるい)と記載してあります。
    (ゆるい)とか(中位)の感覚が良く分かりません。
    一般的な地層の(層)とは何メートルを云うのですか。支持層や中間層の層の事です。宜しくお願い致します。

    1. Avatar photoジャパンホームシールド株式会社 Post author

      ご質問ありがとうございます。

      まず、層厚についてですが、直接基礎の場合なら、N値5以上の地層が2m以上あれば支持力は満たされていると考えて良いと考えられます。
      ただし、これはあくまでも支持力に限った話で、住宅地盤の状態を確認する場合は支持力のほかに「沈下・変形」についても検討する必要があります。
      N値からある程度は支持力を推定できますが、沈下・変形については「新しい盛土の有無」、「腐植土など有害な土質の有無」など数値では表せない要素を複数確認する必要があります。

      また、砂質土について補足しますと、砂質土は詰めればどんどん締まります。
      その締まり具合を学識者が区分表にしたものがいくつか報告されていますが、主に大型構造物(橋梁やビルディング)などを対象としているため、比較的軽量である戸建て住宅の場合はイメージが合わないことが多いと思います。戸建て住宅と大型構造物では要求されるN値が10倍以上異なるためです。

へ返信する コメントをキャンセル

必須項目は全て入力してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)