その土地、「汚染」はされていませんか?
~土壌汚染調査について知ろう~

2020年4月の民法改正により、売主責任が格段に重くなりました。建物だけではなく、土地についても土壌汚染や埋設物など責任を負うことになります。売主は契約不適合責任に問われないためにも、土壌汚染調査、埋設物調査等を行うことが重要になります。クリーニング店を営んでいた土地で汚染が心配・そもそも土壌汚染の有無が気になる、といった問い合わせも増えているのではないでしょうか?今回は「土壌汚染調査」について知っていただき、安心して土地取引をしてもらうために、ご紹介します。

土壌汚染調査について

土壌や地下水を採取分析する調査と、土地の履歴を調べて汚染リスクを判断する地歴調査があります。相談が多いのは「土壌(土地)の汚染の有無」で、土壌汚染対策法の有害物質(鉛、ヒ素、水銀など26項目)の調査です。他には油汚染(油臭油膜)の調査や地下水汚染の調査もあります。

最近では法律上調査が必要ない土地取引の際に、土壌汚染を心配される売主・買主からの相談により調査を行うケースが増えています。

土壌汚染調査はどんな時に必要?

土壌汚染対策法や都道府県市条例など
法律上で調査の義務がある土地

法律上の義務がある土地は主に2つ

  • 有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき
    例)ガソリンスタンド・クリーニング店
  • 建設や解体をする場合の土地の改変面積が
    3,000m2以上のとき
    (現に有害物質使用特定施設が設置されている
    土地は900m2以上)
法律上の調査の義務は無いが
土地取引上で自主的調査をする土地

依頼が多いケース

  • 法対象とならない土地取引で土壌調査が
    契約条件になっているとき
  • 適切に開発した土地で汚染の無い
    健全な土地であることを調査してほしいとき

調査方法と時間

調査方法

人力や専用機械で調査ルールに従い、表層0.5mの土壌や土壌ガスを採取

調査時間

半日から1日(規模による)※大型工場であれば数日かかることもあります

駐車場や工場のように表層にコンクリートがあればその下から0.5mの土壌を採取します。もしも3m下までの地下タンクがあれば3mから0.5mの深さで土壌を採取します。住宅として利用している場合は、庭先で土壌を採取することもできるので、建物があっても対応ができます。

※コンクリートに穴を開けて調査を行う場合があります(調査後補修します)

■土壌採取現場

土壌汚染調査をしてわかること

土壌や地下水を採取・分析でわかること鉛や水銀などの有害物質による土壌汚染の有無

有害物質は基準値を超えると人への健康被害に影響することから調査が必要な工場や土地があります。健康被害の事例では水銀を原因とする水俣病、カドミウムを原因とするイタイイタイ病などが広く知られています。

地歴調査でわかること汚染の恐れの有無

過去の土地利用状況や過去の空中写真/地図類などの情報資料を基に判断をします。「汚染の恐れがある土地」と判断された場合は「土壌採取分析」が必要な土地になります。

調査の報告書提出までの流れ(例)

①現地調査
約1日(※規模により異なります)
②分析結果の速報
約1~2週間後(※分析対象によって要する時間が異なります)
③報告書の納品
現地調査から約4週間後

報告書の内容

報告書の内容

※簡易宅地土壌汚染診断では公定法分析26項目(第一・二・三種特定有害物質)の内、ベンゼン・水銀・鉛など11項目を対象とした分析結果表になります。

土壌汚染がわかったとき、
どのような対処・改良を行うの?

汚染がわかったときに、危険度によって方法が異なります。

【例】土壌汚染の分析を行い、基準値を超える数値が出た場合・地下水汚染あり
居住中:井戸水を飲まないなど人が直接摂取しない
空き家:掘削除去を行い土を入れ替えるなど

一般的に多い方法としては「掘削除去」です。汚染された土壌を掘削して良質土で入れ替える方法です。汚染土壌は土壌処理施設に運搬して処理をします。汚染がひどいときには管理型埋立施設に埋め立てる場合もあります。掘削除去せずに汚染範囲を立ち入り禁止にしたり、アスファルトやコンクリート・盛土をすることで人が直接摂取しないようにして駐車場などで利用できる場合もあります。

土壌汚染調査を行うメリット
土地取引では「土壌汚染」はマイナスイメージになりますし、土地の利用ができないケースもあります。土壌汚染調査を行うことで土地を円滑に利用するためにも重要な調査です。あらかじめ調査を行うことで、土地取引時のリスクを軽減することもできますし、売主・買主の不安を取り除くこともできます。
土壌汚染調査を利用する際の注意点
土壌汚染調査は全ての土地で実施する必要はありません。工場や有害物質を使用していた土地で実施する調査ですから、無暗に土壌汚染を危惧して調査することはありません。まずは何が心配なのかを認識していただき、適切な調査を進めることが重要です。

土壌汚染調査について不動産事業者から
質問が多い内容はなんですか?

  • 倉庫/工場を売買しますが土壌汚染の心配はありますか
  • 更地/駐車場の土地の売買ですが土壌汚染の心配はありますか
  • 土地の売買で買主から土壌調査を要求されていますがどうしたらよいですか
  • 行政に有害物質使用届出が出ている土地ですがどのように進めたらよいですか
  • 3,000m2以上の土地の開発をしますが地歴調査だけで良いですか
  • 他社の調査で汚染があるのですが報告書の見方と今後どうすれば良いでしょうか
  • 調査費用や対策工事費用の削減をしたいので相談に乗ってほしい

土壌汚染調査について詳しく知りたい方は
ホーミルサイト内の「宅地土壌汚染調査」をご確認ください。

土壌汚染調査についてアドバイス

民法改正により、土地についても売主が責任を負うことになりました。土地取引にあたり、土壌汚染が心配だが何をすればいいのか?調査が必要な土地なのか?どんな調査をすればいいのか?など少しでも気になることがあれば、まずは土壌汚染調査の専門家に相談してください。土地の契約や工場廃止など調査の目的に応じた適切な調査を選択することで調査費用の適切な圧縮軽減も可能です。

(記事作成のご協力:
UGRコーポレーション株式会社様)

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