プレスリリース

令和6年能登半島地震 被害調査報告
現地調査で分かった再液状化、人工地盤、側方流動について

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このたびの能登半島地震で被災された皆様、ならびにご家族、ご関係者の皆様には謹んでお見舞いを申し上げます。

被災地におかれましては、一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

戸建住宅の地盤調査実績No.1のジャパンホームシールド株式会社*1(所在地:東京都墨田区、代表取締役社長:勅使河原隆巳、以下JHS)は、202411日に発生した令和6年能登半島地震における被害状況の現地調査を行い、調査結果を取りまとめましたので、被害状況の概要および提言をご報告させていただきます。

調査概要

・調査期間:    2024 1 10 日~12

・調査方法:    JHS地盤技術研究所研究員4 名、技術部社員2 名の現場踏査による被害状況の目視確認と机上調査

・調査エリア:    石川県 (金沢市・かほく市・河北郡内灘町)、新潟県(新潟市中央区・港南区・西区、上越市、糸魚川市)、富山県 (富山市、高岡市、氷見市)

調査結果

地震による被害状況の中から、今回の地震で特徴的だった「液状化被害(再液状化)」「人工地盤」「側方流動」の3点について、下記の通りまとめました。

1.液状化被害(再液状化)について

今回の地震における液状化は、石川・富山・新潟県と日本海沿岸部などの広いエリアで被害が発生しています。これは地震の規模が大きかったことと長周期地震動と言われるゆっくりとした揺れが遠方までエネルギーを失わずに伝わる震動だったことが理由と考えられます。

新潟市中央区川岸町では信濃川の旧河道で液状化被害が多数出ており、ここは1964年の新潟地震の際に「液状化現象」が発生した有名な場所で、再液状化が発生したと考えられます。液状化は一度発生したら終わりではなく、条件が揃えば再度、液状化が発生することが確認されました。

今回液状化被害を受けた北陸地域の地盤データから液状化判定を行ったところ、各エリアで液状化被害の可能性が高い判定が出ており、液状化調査を行えば、事前に液状化被害の可能性を知ることができるとわかりました。

①家屋の沈下・傾斜(新潟市中央区川岸町)

家屋の沈下・傾斜(新潟市中央区川岸町)

②1964年新潟地震(新潟市中央区川岸町)出典:国立公文書館

1964年新潟地震(新潟市中央区川岸町)   出典:国立公文書館

2.人工地盤について

今回の液状化被害が起きたエリアで多かった地形は砂丘や堤間湿地、河道を造成した人工地盤でした。

特に被害の大きかった新潟県江南区は信濃川の旧河道に砂を盛土した地盤で、盛土の地下水位が浅く、「砂+浅い地下水位」という液状化の発生条件が揃った場所でした。

石川県内灘町は砂丘を削った地盤で甚大な被害があり、こちらも液状化の発生条件が揃ってしまった場所となります。

その石川県内灘町を液状化マップで確認したところ、液状化の危険度は5段階の内3を示しており、大まかな地形区分で作られた液状化マップでは把握できないエリアもあることがわかりました。

③現在と1960年代の信濃川周辺の航空写真比較(新潟県江南区)

現在と1960年代の信濃川周辺の航空写真比較(新潟県江南区)

④標高50mの内灘砂丘から砂が大量に削られる様子 出典:飯田淳一(平成15年)「干拓の記」(北陸農政局河北潟干拓建設事業所編集・発行)をhtml化

標高50mの内灘砂丘から砂が大量に削られる様子   出典:飯田淳一(平成15年)「干拓の記」(北陸農政局河北潟干拓建設事業所編集・発行)をhtml

3.側方流動について

側方流動は傾斜地などで液状化被害が発生すると表層地盤が水平方向に変異する現象で、流動した地盤上の構造物(住宅など)への被害が大きくなります。

⑤側方流動模式図

側方流動の模式図

石川県内灘町では内灘砂丘周辺で液状化現象による側方流動が発生し、地割れ・地盤沈下・噴砂などの現象が広く確認されました。

側方流動によって表層地盤が押し出され、家屋の倒壊や側溝・マンホールの浮き上がりなど甚大な被害が出ています。

内灘町は砂丘を切土した地盤で、地下水位が浅くなったことと元々あった砂の荷重がなくなったことで液状化現象が発生し、かつ傾斜地だったことから側方流動が発生したと考えられます。

⑥広範囲な側方流動による地割れ(石川県内灘町)

広範囲な側方流動による地割れ(石川県内灘町)

⑦側方流動の押し出しで変形した参道(石川県内灘町)

側方流動の押し出しで変形した参道(石川県内灘町)

⑧内灘砂丘の側方流動 模式図

JHSからの提言

今回の地震で再液状化が発生した新潟県のように、液状化履歴のある地盤も液状化の発生条件が揃えば再度液状化が発生することが確認されました。
同じ液状化でも石川県では傾斜地で液状化が発生したことで側方流動が発生し、家屋の倒壊や側溝・マンホールの浮き上がりなど、顕著な被害が多数確認されました。
他にも被害が多く見られた旧河道や砂丘などの人工地盤は、北陸特有の地形ではなく、関東をはじめ全国各地に存在し、新設・造成の際は改めて液状化リスクを考慮する必要があると言えます。
液状化現象と言っても震度や地形・地質といった条件の違いにより発生する現象は異なるので、まずは自分の地域がどんな地盤なのか、どんな被害が起きる可能性があるのかを知ることが重要です。
液状化の危険度を知る際、液状化マップはその地域の概略を掴むには有効ですが、把握していないエリアも存在するため、それだけで液状化の可能性を判断するのは危険と言えます。
液状化マップだけでなく、より詳細な地盤データがわかる液状化調査を行い、宅地ごとの液状化被害の可能性を知ることを推奨します。
JHSでは地盤品質判定士などの専門家が多数在籍しておりますので、お困りの際にはご相談ください。

 

被災地におかれましては、一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。