建物検査営業部 「19万戸の実績が財産です」
取材・文 = 金井友子(新建ハウジング)
地盤調査の専門会社というイメージが強いジャパンホームシールド(JHS)ですが、実は時代の先を常に読みながら建物検査の分野でも活躍しています。
今回は、同事業を率いる建物検査営業部 部長の小田島直人さんにインタビューしました。
住宅業界に新しい風を吹き込んだ
2000 年の品確法以降、業界が品質確保に向けて動き出すなか、私たちは「住宅会社様の品質・技術面での困りごとを解決したい」という想いから、2003年に建物検査業務を開始しました。
当時はこれといった決まりもなく、各社がそれぞれのやり方で建物を検査し、保証を付けていた時代。そんななか、全国同一基準のもと、全国規模で検査を行うJHSの取り組みは、いま振り返ってもとても新鮮で珍しいものでした。
地域ごと・現場ごとに変わらない検査・保証品質はもちろん、地盤保証と瑕疵保証をワンストップで申し込める利便性は、多くの住宅会社様に喜ばれました。
新築に加え、既存住宅向けのサービスも先駆けて始めた
リフォームや不動産売買の際に利用できる既存住宅向けの建物検査は、5年前の2012年にスタートしました。
とくに、来年4月の改正宅建業法の完全施行を控え、この2〜3年は中古住宅売買時に必要なインスペクション(建物検査)の需要が急激に高まっています。2016年の実績はサービス開始時の約34倍。この勢いはもっと加速するとみています。
JHSの建物検査は、他社と何が違うのか?
私たちの大きな強みは、全国展開で培ってきた実績、ノウハウ、検査員体制です。
検査実績は累計約19万戸(2018年10月末時点)。これだけの建物検査実績をもつ民間会社はまず見あたりませんから、他社にはマネできない「経験値」があると自負しています。
そして、19万戸を超える検査実績があるということは、その分事故事例を扱った経験もあるということ。苦い思い出ですが、おかげでどんな仕様・施工が事故につながりやすいかを身をもって知ることができました。これら生きた情報をノウハウとして社内で蓄積。「失敗に学ぶ」の言葉通り、過去のトラブル事例がいまの私たちの大きな財産です。

検査風景。1・2級建築士資格と専門知識をもつ 検査員が多項目に渡って厳しくチェックする
検査員教育にも熱心に取り組む
検査員は305人おり、すべて1級または2級建築士の資格をもつ建築のプロフェッショナル。
彼らを対象に年2回の研修をエリアごとに行い、検査品質の維持向上に役立てています。とくに既存住宅は、検査員の知識・能力・経験の差が大きく出る分野なので、こうした研修は欠かせないのです。

瑕疵担保履行法が施行される2009年までの間に検査技術や顧客対応に関するノウハウを蓄積できたこともJHSの強みになっているという
研修は「接遇」と「技術」の2種類あり、トラブルや事故の事例を検査員全員で共有するのが目的です。検査員1人が経験することには限りがありますが、過去の事例や失敗をみんなで共有すれば、現場で活かせる貴重なノウハウになります。また、これから一気に増えるであろう不動産売買時のインスペクション業務にも役立つ、価値のある研修内容です。
そもそも「接遇研修」を始めたきっかけは、検査時の対応やマナーに関するクレームが一番多かったから。既存住宅の場合、お施主様が住んでいる状態で検査を行うため、挨拶、立ち振る舞い、写真の撮り方に至るまで基本をおさえて行動しないと、お客様の困惑や怒りにつながりやすいのです。
「技術研修」では、一番多い雨漏れをはじめとする事故を防ぐノウハウを共有します。外壁や軒裏のシミを見るのは検査の定石ですが、それをどう判断して検査結果に反映するかは、検査員の技量が問われる重要なポイントです。
2016年から、定期点検サービスが始動
私たちは、新築住宅向け、既存住宅向けの建物検査サービスに続いて、2016年に「定期点検サービス」をリリースしました。お施主様に「アフターサービスは万全か」と聞かれたときに、きちんと答えられる体制がほしいという住宅会社様のニーズに応えたものです。
「人材・時間の余裕がなくて引き渡し後の定期点検を一切やってこなかったが、それを見直したい」「これからはOBフォローに力を入れて紹介客やリフォーム受注につなげたい」といった住宅会社様に使っていただきたいサービスです。
読者のみなさんにメッセージを
私たちは、2003年からスタートした建物検査業務を通じて、日本の住宅品質の向上や意識の底上げに少なからず貢献してきました。また、住宅会社様のニーズに常に寄り添い、必要なサービスをご提案してきました。
ただ、住宅会社様にとってはやはり地盤のイメージが強いようで、「建物検査もやってたの?」と驚かれることが多々あります。
確かに検査や点検は「縁の下の力持ち」的な役回りで、なかなか私たちのことを知っていただく機会がありません。これを機会に多くの方に住宅検査への想いや取り組みに興味をもっていただけると嬉しいです。
私たちが住宅品質の「見える化」をお手伝いします。お気軽にお問い合わせください。
建物検査営業部 03-6872-1157 https://www.j-shield.co.jp/enterprise/homeinspection/inspection_system.htm

JHS LIBRARY 編集部

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