2017.10.01TEAM JHS

地盤解析部「沈下事故も過剰な杭打ちもなくす。両立のために技術を磨いてきました」

内山さん

内山雅紀部長 1級土木施工管理技士/地すべり防止工事士/地盤品質判定士 2006年ジャパンホームシールド入社、技術部に所属し、住宅会社様の技術的相談などに応じる。2012年 より同社地盤解析部、現在に至る。趣味はゴルフ、ピアノ。地質も好きだけど、天体も好き。

取材・文 = 金井友子(新建ハウジング)

今や150万棟の地盤調査・解析実績を誇るジャパンホームシールド(JHS)。その中枢を担うのが、膨大な地盤情報と独自の解析・判定システムを操る31人の「解析マン」たちです。適切でバラツキのない判定を可能にしているのは何か。彼らを束ねる内山雅紀さんに話を聞きました。

 

同じ地盤でも異なる判定結果が出るって本当?

そもそも地盤は工業製品と違い、現場ごとに品質が異なるうえ、目に見えない土の中を調査するものなので、どうしても判断にバラツキが生じやすくなります。特に、その根拠となる基準や解析者の経験・スキルが一定でないと、判定結果が割れることに。

 

また、一番怖いのは沈下事故ですが、事故防止のために安全側に寄り過ぎた判定をすると「要改良工事」ばかりになってしまいます。過剰な杭工事は予算や工期に影響し、住まわれる方の不利益につながることも。解析には安全とコストを両立させる“バランス”が必要です。

地盤解析業務

地盤解析業務は2画面で行います。

地盤調査データと土地情報や、現在と過去の航空写真等を効率的に比較することができます。

 

 

 

 

どんな会社を選べばリスクを減らせる?

経験豊富な“地盤の目利き”がいる調査・解析会社は、信頼に足る提案をしてくれるはずです。ただ、ベテランが抜けた途端に杭工事が増えたという話もよく耳にするので、人頼みの会社にも課題はあります。

 

一番良いのは“地盤の目利き”を揃えつつ、バラツキの出ない仕組みが構築されていること。当社では「Report.JHS」と呼ばれる独自の解析基幹システムで地盤に対する多角的な分析を効率的に行っています。

 

さらに、これまでの経験から導き出した60以上の解析基準を定め、バラツキのない判定を実現しています。最終的には、部内で第三者チェックを行い、人為的な判定ミスを防止します。

 

「沈下事故を起こさない」「過剰な杭を打たない」この2本柱の両立を掲げて、日々解析業務に従事しています。

 

システムを駆使し、地盤を多角的に分析

JHSでは、住宅会社様が記入した地盤情報、地盤調査結果、複数のデータを多角的に分析し、改良工事の要不要判定と適切な補強方法の提案、敷地の状況を詳細な報告書にまとめて提出します。

 

解析マンが行う作業工程は約50項目あり、従来は人の経験値だけに頼っていたため、判定のバラツキが沈下事故につながってしまうこともありました。「Report.JHS」システムの開発以降は人とコンピュータのそれぞれがうまく分業することで、効率的かつ均質な分析を実現しています。

 

地盤の良し悪しは、調査データの数値だけで単純に割り切ることができません。たとえば全く同じ強度(数値データ)の土があったとしても、それが安全か危険かは、また別の要素でも判断する必要があるのです。

 

私たちが念入りに見るのは地形の改変。なかでも盛土の造成時期は重要な判断材料です。簡単にいうと、盛土が新しければ危険、10年以上経過していれば安全と判断します。さらに、地形図、地質図、土地条件図、旧版地形図などさまざまな資料を総合的に検討し、精度の高い判断につなげます。

 

150万棟の解析実績と全国の地盤情報データベースは、当社にしかない大きな強みです。沈下事故が発生した地盤情報を把握し、事故が発生しやすいエリアを知らせるアラーム機能も「Report.JHS」には組み込まれています。また、液状化調査の提案も得意とするところです。

 

一般的な地盤調査といえば、「スウェーデン式サウンディング(SWS)試験」ですが、当社が採用する「スクリュードライバーサウンディング(SDS)試験」は、土質を高精度に推定できます。土質が砂か粘土かで地盤リスクは大きく変わってきますから、住宅地盤の調査にはSDS試験を推奨しています。

地盤調査機械

SDS試験機による地盤調査風景。

※ローコストで土の種類や地層を高精度に推定できる地盤調査方法。液状化の簡易判定も行うことができます。

 

 

 

 

 

 

社員教育も充実。判定根拠も丁寧に説明できるように。

地盤解析部では、部署を挙げて解析マンたちの資格取得、スキルアップを後押ししています。

 

まず「住宅地盤主任技士」を一つ目のステップとして、その上位資格と考えている「地盤品質判定士」の取得をめざして社内勉強会や模擬試験を開催しています。

 

結果、地盤品質判定士は部内の3割にあたる28人が取得。この数字には、「地盤のプロフェッショナルをきちんと育てたい」という当社の姿勢が色濃く反映されています。

 

また、解析マンの判定スキルを上げるために、ボーリング調査とSDS試験を同一箇所で実施して土質を判断する演習をはじめ、「実物に触れて正解を知る」という訓練を継続的に行っています。なにより、土木や建築業界の経験者が多く、地盤や地形に興味のある人の集まり。1人ひとりが誇りをもって解析していますので、判定結果や改良工事の方法やお施主様への説明の仕方などでわからないことがあればどんどん聞いてください。

北・東日本メンバー

 

西日本メンバー

西日本メンバー

お客様を第一に考えて、沈下事故撲滅に努め、豊かな住生活に貢献します。

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JHS LIBRARY 編集部

一人でも多くのお客様の安全・安心な住まいづくりを支えたいという想いから「JHS LIBRARY」をスタートしました。地盤から法律知識、住宅会社様のユニークな取り組みなど様々な情報をお届けします。

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