人材不足の時代に成長する秘訣とは
前回のトピックスでは、建築業界は大工・職人さんの人手不足や、現場監督の業務量の多さ、その中で若手の教育がなかなか進まないといった流れの中でも未経験者の女性が現場監督として上手に現場をまわしていった内容をご紹介しました。
前回のトピックス:未経験者でもなれた!これからの現場監督の在り方とは?
今回は、そんな業界の中で人材不足の時代に成長する秘訣とは何か、をご紹介します。
現場監督の人材確保は難しい?
現場監督の数が足りないという事業者様の声をよく聞きます。前述にも述べましたが、建設業は就業者の高齢化が進み、次世代への技術継承や人材育成が大きな課題となっています。この事態に、国土交通省・厚生労働省の両省が連携して建設業の人材確保・育成に向けた取組みを推進しています。
人材確保には、働き方改革の促進による労働条件の改善、また社会保険の加入徹底、福利厚生の充実による処遇改善などが職場への改善ポイントとなります。基本的な労働条件を見直すだけでなく、安心して働ける魅力的な職場環境を整備することが大切です。
しかし、この流れはしばらく改善が見込まれていません。
それどころか長期的な新築着工の減少もあり住宅業界から離れようとする人もいます。特に課題となっているのが現場管理者、現場監督の人材採用です。
経験者を求めて人材募集サイトに募集広告を出してもなかなか応募が無い、という会社さんも多いのではないでしょうか。
受注は伸びていても回す体制がない、これは時間が経てばたつほど機会損失になり、できる限り早く人員を確保したいところです。
そうならない現状では、今いる社員に残業させることでやりくりしているという会社も多いと思います。
では、良い人材をできる限り早く採用するにはどうすればいいのでしょうか。
良い人材を確保するための採用ポイントは?
ここで考えたいのが経験者にこだわる必要があるのか、ということです。
前回のトピックスで紹介した事例でも、現場監督不足に陥った会社が社内の事務担当のスタッフを現場監督に抜擢し、最初は上手くいかなかったが、教育、OJTを重ねることで職人たちをコントロールできるようになり、3年で現場のリーダーに上り詰めたお話でした。
この女性監督は、事務作業はテキパキこなす、周囲とのコミュニケーションはきちんとできる、こういった行動に優れていました。そして、未経験である住宅の知識はOJTで現場を進めながら正しい知識を習得することで育っていったのです。
このように経験によらない人材採用は他の業界でも見られます。
知識・経験は後から身につく
業界の経験値よりも行動特性に注目して人材採用する考え方では、知識や経験は後から身に着けることができる、ということです。
一方で行動特性はその人が持ったもの・経験したものとして、差が出る側面になります。
もちろん採用する側は、現場監督をやっていた方、経験がある方が採用できたほうが即戦力にもなり、安心でスムーズと考えてしまうかもしれません。
経験値を優先したあまり、個人のこだわりが強くなかなか指示通りにいかない、あるいは知識はあるが工事の段取りがずさんで工期遅れが多発し、コミュニケーションがうまくいかず職人をコントロールできなかったという話も聞きます。
こういった事例からも経験によらない人材採用に取り組む会社も増えており、採用の幅が広がるとともに、結果として業務の効率が上がっています。
ここで別業界の人材採用について興味深い事例があるのでご紹介します。
事例:大手自動車メーカーL社の人材採用の視点
大手自動車メーカーL社の採用事例についてご紹介します。
L社では、自社で採用するときに2つの視点を持っているそうです。
- 人材の適性(その人が持っている能力・行動特性※コンピテンシー)
- キャリア(その人が持っている知識・経験)
2のキャリアは後から教育できるものとして、1の人材の適正(コンピテンシー)を重視し、未経験者であっても採用するようにしています。1を人材の適正を重視するにあたり、望ましい人材確保をするために企業は何を考えるべきなのでしょう。
このケースでは、自社のブランドイメージを体現できる行動特性をもった人材であるかどうか、ということに重点を置いているそうです。
その後、2の知識・経験が備われば、自社にとって理想的な人材が仕上がるのではないでしょうか。
目先の人事に捕らわれると人材のそぐわない人を採用してしまうかもしれません。
この人が現場監督となったときに、どういう活躍が出来るのかを考えて採用しなければ双方良い結果につながらないかもしれません。
※コンピテンシーとは、ハイパフォーマー(高業績者)に共通する行動特性を指し、人事分野で広がりつつある概念です。活用にあたり、会社にとって望ましい行動特性を設定して人事評価や採用面接の場での判断基準として用いられています。
(参考)L社の人材採用
採用時にもっと重視しておきたかったこと
人材を採用した時の判断基準とその後の評価について面白いデータがあります。多くは知識・経験を評価して採用していますが、人格やそれ以外の遂行能力をもっと重視すればよかった、という振り返りをするケースが多いということです。知識・経験をもとに採用したがそれほどのパフォーマンスを上げられていないという悩みを表しています。また、別のデータでは業種・職種の経験の有無は仕事の成果に大きな影響を及ぼさない、という調査結果も出ています。
施工品質確認で技術習得をサポート
これからの現場監督の採用に必要なことは、下記2点と考えています。
(1)管理・コミュニケーションスキル
(2)自社の求めている行動特性を持っているか
経験者にこだわらないことで、人材採用の幅は大きく広がります。
また弊社では、人材を発掘した後の、現場の知識・経験・OJTのお手伝いができます。
「これからを、ともに一緒に。」というスローガンを掲げ、第3者機関の検査会社として、現場に必要な知識と施工内容を検査員と一緒に理解を深めていただき、住宅会社様に求められる当たり前の品質を守るお手伝いを弊社が行い、自社の強みや利益となる活動に特化してほしいと考えております。
現場のお悩み等ございましたら、お気軽に問合せください。
最後に
弊社が目指しているのは「現場を良くする品質検査」です。
やはり家を建てるのに重要なのは、「人」であると考えています。
検査するだけでは、流出原因を防ぐだけになってしまう、その前から発生原因へアプローチしていくことで施工不備・不具合の予防ができると考えています。流出原因を防ぐために検査基準をつくってチェックしていくこと。必要であれば、新しい監督さんへの知識向上となるように勉強会や現場でのレクチャーを行います。
施工不備の発生は作業する人によって起こります。私たちは品質検査で施工不備の流出を防ぐとともに不備が発生しないための改善提案を行います。求められる当たり前の品質は私たちが守り、工務店様には、自社の強みや利益となる営業活動に特化してほしいと考えています。
これからも厳しい住宅市場が予測されている中、アウトソーシングによって、施工品質の向上に役立てることを願っております。
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