2019.07.03住宅会社リポート

鹿児島の気候・風土に最適な住まいづくり/ヤマサハウス

探検ツアーお見送りの様子

開催回数は250回を超え、述べ1万1千人を超える参加がある住まいづくり探検ツアー

桜島を仰ぎ見る地元をはじめ、県内では知らない人はいないと言われる「絆の家」。「絆の家」とは木造戸建住宅供給で県下トップの住宅会社ヤマサハウスさんが提案する、家族が心も身体も健康に暮らせる住まいの設計コンセプトのことです。

今や県内で揺るぎない信頼を得ている同社ですが、ここに至るまでには、さまざまな試行錯誤や苦い経験がありました。

取材・文 = 竹葉理子(新建ハウジング)

 

甚大な台風被害、方針転換を加速させた出来事

「ヤマサはよかねー」

1993年9月、薩摩半島に上陸した台風19号は、多くの住家損壊を出すなど鹿児島県に甚大な被害をもたらしました。「ヤマサはよかねー」は、復旧のため被害を受けたお客様宅の修理にあたっていた際、近隣の住民の方からかけられた言葉です。

 

この台風でヤマサハウスさん(当時は山佐産業)が建てた住宅の約3千棟、それまでの累計建築棟数の半数に当たる住宅に何らかの被害が出てしまいました。一日でも一刻でも早くお客様の家を復旧しなければと、全社一丸となって作業にあたります。近隣の住民の方は、ヤマサハウスさんの迅速な対応を羨ましがってこの一言を漏らしたのです。

台風19号被害状況1

台風19号被害のときに全社一丸で復旧作業に取り組む様子

 

吉田専務取締役は当時を振り返り、「不満も漏らさず対応する社員の様子を、他社の社長に感心され褒められた」と話します。

吉田専務

吉田専務取締役

台風被害があった当初、半年ほどは営業活動ができないだろうと思われましたが、新しい仕事はとらないと決め、全社員が全力で復旧作業にあたったこともあり、2ヵ月も経つと事態打開のめどが付きました。

 

すると営業活動も行っていないのに、お客様の方から新築契約の依頼が来るようになったそうです。「営業担当者は、昼間は復旧作業にあたって、作業を終えてから契約に出かけて行きました」と話す森常務取締役。従業員の皆さんが昼夜を問わず尽力していた様子を近隣住民の方々はしっかり見ていたのでしょう。

森常務

森常務取締役

 

量から質への転換

ヤマサハウスさんのはじまりは木材業です。木材の流通を増やすため住宅へと事業を広げ、1970年代後半から徐々に建築棟数を増やしました。さらなる販売拡大を図るため、営業力を強化、画一的なデザインで普及価格帯の住宅を数多く販売していきました。

 

順調に建築棟数を伸ばしていた同社ですが、一方で相次ぐ台風被害で瓦が飛んだり、雨漏りがしたりとお客様宅でのトラブルもありました。「量から質へ方針を変えていかないといけないと考えた」(吉田専務)と社内での意識改革が始まりました。

 

地震・台風に強い瓦1枚ずつのビス留め施工、夏の日差しの強さに対応した「遮熱」機能、桜島の火山灰も雨で流れる屋根の瓦桟への工夫、シロアリ対策など鹿児島の気候と風土に適した住宅の開発に注力したのです。

 

シックハウスが問題になった際には、いち早く自社でVOC(揮発性有機化合物)測定を始め、厳選した材料を採用し、1997年に「健康住宅宣言」を行いました。これはシックハウス症候群やアレルギー症状などを引き起こす可能性のある原因物質について、国とWHO(世界保健機関)の基準をすべて下回ることを宣言するものです。

 

住宅の“質”をリアルに伝えるバスツアー

時間をかけて“質”への転換を進めたヤマサハウスさん。広く鹿児島県民に知ってもらうために実施したのが、これまで20年間、毎月行っている「住まいづくり探検ツアー」です。

現地到着の様子

 

探検ツアーは、同社の住宅に興味を持つお客様、検討中のお客様などを対象に、プレカット工場や倉庫内に設置された実物大の構造模型の見学、住まいづくりの重要なポイントを説明するセミナーなどを、丸1日かけて体験してもらうバスツアーです。

 

ツアー内の企画では、家を建てたお客様が体験談を話すコーナーが大好評です。「参加者からは、お客様の『こうすればもっと良かったかもしれない』という話が聞けて大変参考になったという声をたびたび耳にします」(吉田専務)。イベントに出席して体験談を話してくれるお客様にも感心しますが、包み隠すことなく何でも話してOKという同社の姿勢にも驚かされます。

ヤマサハウス様が使用する「認証鹿児島材」は含水率20%。高含水率の木材は冷たく、低含水率の木材は温かみがあるように感じます。

 

お客様との絆

お客様との関係でさらに驚かされるのは、鹿児島読売テレビで放映回数700回を超えるロングランTV番組である、お客様家族が家づくりについて語る『絆の家』です。同業の他社からは「よく出てくれるよね。これだけ多くのお客様が会社の告知に関わるところはない」と言われているそうです。

内観1

TV『絆の家』ではヤマサハウスさんの施工技術や設計の特徴も紹介しており、一見自社の手の内を明かしているようにも思いますが、吉田専務によれば、佐々木社長が「真似されてもいい。それで県内の住宅の質が高まれば、台風や災害の時の被害を減らせるから」と話しているそうです。鹿児島の気候・風土に合った住宅を県全体に広めたいというヤマサハウスさんの家づくりの信念が佐々木社長の言葉から伝わってきます。

 

家族の絆を強めるようにとの想いではじまったTV番組『絆の家』。お客様家族の絆だけでなく、ヤマサハウスさんとお客様、さらには同社と鹿児島県民との絆をも繋いでいるのではないでしょうか。

 

外観縦

鹿児島の気候・風土に最適な「絆の家」

 

あの台風19号の被害から25年以上が経ちましたが、今でも九州地方に近づく台風の情報が入ると、同社の社員の方々はOB顧客のお宅に電話を入れます。「雨戸は大丈夫ですか?」「換気口は閉めてくださいね」「何かあったら連絡してください」。

ヤマサハウスさんとお客様との絆は、年月を重ねる度に強くなっていくことでしょう。

 

最後に、JHSで良かった!というエピソードがあれば教えてください。

法的な相談をした際、すぐにJHSさんの技術と営業がかけつけてくれて、弁護士の方へ地盤に関して説明してくれました。良い時だけセールスするのではなく、困っている時に寄り添い、素早い対応をしてもらえることがありがたいです。企業姿勢が素晴らしいですね。

HSわたなべさん、吉田専務、森常務

左よりJHS渡邉、ヤマサハウス様 吉田専務、森常務

 

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JHS LIBRARY 編集部

一人でも多くのお客様の安全・安心な住まいづくりを支えたいという想いから「JHS LIBRARY」をスタートしました。地盤から法律知識、住宅会社様のユニークな取り組みなど様々な情報をお届けします。

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