2018.01.01住宅会社リポート

「仁を尽くす」 お客様の幸せな暮らしのために/アルプスピアホーム

アルプスピアホーム

長野県のアルプスピアホームさんの社訓は、「『仁を尽くす』お客様の家族の幸せな暮らしのために」。

厳寒の信州の冬でも快適に暮らせる高品質なフル装備住宅を「より多くの方に手の届く価格で提供したい」という信念が支持され、たくさんのファンが生まれています。

年間で新築約190 棟と長野県内に本社を置く住宅会社としては1、2を争う屈指の存在に成長しながら、創業以来18年連続増収を達成しています。

取材・文 = 松本めぐみ(新建ハウジング)

 

ショールームから始まる家づくり

アルプスピアホームさんの人気の秘訣は訪問型の営業を一切しない「ショールームから始まる家づくり」のスタイル。橋本公秀社長は「決めるのはお客様です。われわれは常に選んでいただく立場なんです」と話します。

 

同社にとってショールームは自社の売り込みや営業の場ではなく、来店してくれた顧客に、ご家族の幸せな暮らしを実現する信州の家づくりのあり方について説明し、そのために必要なことを情熱をもって語る「想いを伝える場」。

 

「どうしたらご家族が幸せに快適に末永く暮らせる家をつくることができるか知ってもらえたら、建てるのはうちじゃなくてもいいんです」(橋本社長)。

ショールーム左上-

 

ただ結果的には、ショールームを訪れた多くの人たちが同社に家づくりを任せてくれるそうです。広大なスペースを誇り、家具と一体的な居住空間をはじめ最新のキッチンや浴室・トイレ、断熱や屋根・基礎を含む構造体のモデル、外壁材や床材など家づくりに必要なあらゆるものがメーカーごとに展示されている同社のショールームは、さながら「住まいのテーマパーク」。その充実ぶりこそが、顧客の幸せと家づくりにかける同社の情熱の表れです。

ショールーム左下

 

家族連れでにぎわう週末は、地元の大学で保育を学ぶ保育士のたまごでもある学生たちが広いキッズコーナーで子どもたちの相手をしてくれるため、お客様は集中して話を聴くことができます。

最大のポイントは、同社のすべての部署のスタッフが同じ熱意と想いで暮らしや家づくりについて語れること。こうしたスタッフの情熱から、アルプスピアホームさんのファンが生まれます。「普通の方で2時間半~3時間、時には6時間ぐらいショールームでスタッフと熱く語り合うお客様がいらっしゃいます」と橋本社長は笑顔を見せます。

 

ショールームには地盤調査や改良工事、保険などについて説明するコーナーもあります。取材の折、橋本社長に、われわれ地盤会社への要望をお聞きすると「お客様の大切な現場に一番最初に足を踏み入れるのは地盤に関わる人たちなんですよ。現場では、その場所で生活するお客様の姿を意識しながら、仁を尽くすわれわれのパートナーとして仕事にあたってもらえるとうれしいですね」との言葉をいただきました。

 

社員をとことん大切にする社風

アルプスピアホームさんは社員のあるべき姿=基本姿勢として「明るく」「楽しく」「元気に」を掲げています。一見、ごく普通のことのように思えるかもしれませんが、「実はこれ、当社のお客様たちがくれた言葉なんですよ」と橋本社長は笑顔で語ります。「どのお客様に会っても『それにしてもおたくの社員さんはいつも明るいね』『楽しそうだね』『元気だね』と言ってくれるんです。それはとても素敵なことだし、いっそのこときちんと社内で共通言語化して当社のスタッフのカラーにしようと決めたんです」。

アルプスピアホーム⑪

社員一人ひとりの成長が会社の成長を支えてくれているんです」と話す橋本公秀社長

 

こうした明るさや楽しさ、元気の源になっているのが、社員をとことん大切にする社風。「使い古された言葉かもしれないですが、私は『社員満足なくして顧客満足なし』と心の底から思っています」と橋本社長は力を込めます。

 

数年前には、全国規模のコンサルティング会社から、16年間でやめた社員がたった2人だけ、定着率98%という普通では考えられない驚異的な実績だと称賛されました。社員を大切にする社風が、数字としてもはっきりと表れているのです。もちろん社員が辞めない理由は、やりがいや誇りを持ちながら、一方では面白さや楽しさも感じながら生き生きと働くことができるからにほかなりません。

 

感動のセレモニーで一歩を踏み出す

社員に対する気配りは、入社前の採用のための合同説明会から始まっています。説明会の時のグループディスカッションの様子、参加者による記念撮影、その後は内定者を対象とする様々な研修の様子を写真や動画として記録します。

 

また、毎年必ず行う内定者の家族のための会社説明会の際に、内定者本人には内緒で、家族から本人への祝福のコメントや社会人生活スタートへの激励の言葉を動画として残します。その後、それらを内定者一人ひとり用に編集し、入社式の会場で、新入社員の合同説明から入社までの軌跡や、家族の想いも込めたストーリー動画を流し、全社で共有しているのです。

アルプスピアホーム⑦

全社員で新入社員を歓迎する入社式は、晴れの日を祝う感動のセレモニーとなる

 

社会人としての一歩を踏み出す晴れの日に、生涯心に残る最高のプレゼントです。ほとんどの新入社員が家族のコメントの場面で、時には嗚咽をもらしながら涙するそうです。こうした先輩社員の温かい想いが込められたセレモニーを経て、アルプスピアホームさんの一員となるのです。入社式も、社員全員が全力で楽しむ季節ごとのイベントも、様々な評価・報奨制度なども、会社が行うすべてのことに、本気で社員を大切にしながら、その成長を支えるという企業精神が息づいているのです。

 

「会社はみんなのもの」を形に

同社のこうした社風を、家づくりのパートナーであるメーカーや取引企業の皆さんも共有しています。「お客様の幸せを第一に全員がプロとして誇りある仕事を成し遂げる組織」であるためには技術や知識だけでなく、想いや理念も社員と職人が一体であることが欠かせないからです。社員が常に携帯している、社訓や経営理念、顧客や家づくりへの想い、自分たちのスタンスなどを記載した、同社の基準であり法律でもある「エスプリ(クレド)」を、取引パートナーも社員と同レベルで深く理解しています。

クレド

全社員が常時携帯する理念などが記された「エスプリ」

 

同社は創業時から「一族承継を行わない」ことを会社の仕組みとして明確に定めています。その情熱で強いカリスマ性がある2代目の橋本社長も就任時、「8年間やって、60歳で完全退社する」と明言。その時が2年後に迫ったいま、橋本社長は後継体制の整備に力を注ぎます。同社の株は、「創業者・社長」「役員持ち株会」「従業員持ち株会」が3等分する形で保有していますが、こうした仕組みはすべて「会社はみんなのもの」であることをきちんと形にして、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という想いを愚直に貫いていこうという理念から生まれるのです。

 

社員を大切する社風により高い社員満足と社員の成長を実現。それが顧客満足とファンを生み出し、会社の持続的な成長を支える―この理想的な好循環によってアルプスピアホームさんが目指すのは、家づくりを考える人や就職を考える人、そして地域の人たちといったすべての人から注目され、愛される「長野県人気ナンバー1企業」なのです。

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JHS LIBRARY 編集部

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