2020.10.13住宅会社リポート

幸せづくりへの想いで築く信頼/タマック

2018 年に設立30 周年を迎え、800 棟を超える住まいを引き渡してきた地域密着型のタマックさん。コンセプトは「家づくりは幸せづくり」です。これは、貞松信人会長が様々なものを乗り越えてたどり着いた言葉。その思いや理想とする家づくりのあり方などをうかがいました。

 

取材・文 = 中川卓二(新建ハウジング)

 

「タマック新聞」が伝えること

神奈川県川崎市多摩区の府中街道沿いにあるショールーム。やわらかな色合いの内装と天然の木にも触れられる空間に、建材・住設機器のサンプルや模型などがわかりやすく展示されています。

 

その一角に掲げられているのは、お子さんが一生懸命描いたと思われる文字と絵。タイトルは「タマック新聞」。ご両親が真剣に打ち合わせをしている間、ショールームのスタッフと遊ぶうちにすっかり同社のファンになったお子さんが描いてくれたものでした。「いろいろなおうちがたつよ!」「楽しいところだよ!」「いろいろおしえてくれるよ!」など、小さな手で描いたキャラクターの横に楽しかったひとときを伝えたい思いがあふれています。

 

「すべてはお客様のために」と地元に必要とされる会社と して家づくりを続ける貞松会長(左)と小山常務(右)

 

「本当に嬉しいですよね。わが社では受付のスタッフがお子さんと本気で遊んで、片付けもしてもらいます。親御さんに『うちの子が片づけしてる!』と驚かれたこともありました」。お子さんがタマックを選んでくれた、というケースも少なくありません」。このタマック新聞を目にしたとき、誰もがお客様との関係の良さを感じるのではないでしょうか。そして、そこには歴史がありました。

 

 

気付いた「大きな間違い」

タマックさんの歴史は、貞松会長のお父様が創業したハウスクリーニング業を「有限会社多摩クリーンサービス」として1988年に法人化した時に始まります。

 

ある日、発注元の工務店の社長から言葉をかけられます。「この若いメンバーがいるなら建築をやってみろ」。不安がよぎりましたが、ハウスクリーニングを一生の仕事とはイメージできなかったこともあり、建築の世界への転身を決めました。

 

声をかけてくれた工務店で修業を始め、2×4工法の建築を学んだ貞松会長。その後大手メーカーの下請け工務店として独立し、1991 年にタマック第1棟目を施工します。1993 年には商号を「有限会社タマック」に変更し、ハウスメーカーから「筆頭工務店」の扱いを受けるまでになりました。株式に組織変更し、社員も増えましたが次第にハウスメーカーからの発注量が低下。経営に危機感を抱くようになります。

 

 

貞松会長が下した決断はハウスメーカーの下請けからの脱却と元請けへの転換。しかし受注するにはどうしたら良いかがわかりません。「あるコンサル会社を頼りましたが、誰も自分の会社を選んでくれない。言われた通りにしているのに・・・という心境でした」と振り返ります。2000 年のことでした。

 

そんな中、下請けを脱却して年間60棟の実績がある工務店が関西にいると聞いた貞松会長。話を聞かせてもらおうと出向きました。

 

その工務店の社長に契約に至らないことへの愚痴を言うと、社長が言いました。「話を聞いていたら、お客様の『お』の字も出てこない。誰から給料をもらってるんですか。お客様からいただくものでしょう。一番たくさん給料をもらっているのは誰ですか」。

 

貞松会長は「その言葉で人生観が大きく変わった」と言います。「お客様のことを第一に考えなければ。以前は『家をつくること』だけが仕事の目的で、元請けのハウスメーカーとお客様がトラブルになっても気にならなかった。大きな間違いだったと気付きました」。

 

そして、2001 年8 月に「緊急方針修正発表会」を開き、下請けとの決別を宣言。元請契約がないままの「新生タマック」のスタートでしたが、同年10月に再スタート後初めての契約を2件同時に結ぶことができたのです。

 

建築はサービス業である

「お客様には家づくりのプロセスを楽しんでもらい、感動してもらわなければなりません。そのためには『NO』と言わないこと」(貞松会長)。

 

「タマックさんの家は長期優良住宅の基準を上回る高性能住宅。しかし、家づくりの本質として、建築はサービス業と位置づけています。その象徴が関係者全員で開く「お引き渡し式」です。お客様にとってはスタートの日。その日をどういう気持ちで迎えたかによってその後の人生が変わってしまうのです」と力を込めます。

 

タマックさんでは、この考え方を社員それぞれが身につけるため、「タマックマインド」と名付けた宣言を全社員で共有しています。「お客様に対して常に誠実であること」「常にお客様の味方であること」「お客様に期待以上の満足と喜びを提供すること」など、全面的にお客様側に立った言葉が並びます。

 

自発的に結成された「友の会」

タマックさんのお客様の高い満足度を端的に表しているのが「タマック友の会」の存在です。驚くことにお客様が自発的に発起人となってできた組織で、その発起人は新生タマックへと方向転換してから2棟目のお客様でした。

 

2002年、引越しも終わったお客様が竣工パーティーを開いてくれたそうです。そのお知らせのFAX に『当日は誠に勝手ながらタマック友の会の発足日とさせていただきます。タマックさんが企業姿勢を変えない限り応援し続けたい』と書かれていました。

 

「私は心の底からありがたいと思いました」(貞松会長)。

 

 

きめ細かい対応を続けていくため「施工エリアはショールームから10㎞以内に限定」「年間の施工棟数は最高でも80棟まで」「月々に着工する棟数は7棟まで」と決めています。その姿勢に感銘を受け、「これからも応援していきたい」「変わって欲しくない」との思いを同社で家を建てた人同士で共有するため、お客様がつくり上げたのが友の会なのです。

 

会員はこの18年で800 世帯を超えました。お花見やクリスマス会などの大きなイベントを毎年開いて会員同士の親睦を深めています。「『家ができた以上に、タマックさんという会社と知り合えたことが嬉しい』と言ってくださる方がいます。これが一番嬉しいです」(貞松会長)。

 

コロナ禍で思うこと

貞松会長は先々を見据え、「コロナというものはこの先もなくならないのではないでしょうか。戸建てに対する意識は大きく変わったと思います。会社に行く必要性が見直され、テレワークが当たり前になってきた。家の役割や価値観が変わり、これからは仕事もできる家でなければ。これまで戸建てのハードルとなっていたのは駅までの距離ですが、週に1・2回出社するだけであればバス利用でもいい。より良い環境の中で心地よく豊かに暮らすことが可能になり、戸建ての夢が叶えやすくなる」と説きます。

 

今後は住宅業界で起こり得る変化を社員の中でも共有して、お客様にも啓発していくこととしています。

 

最後に、弊社を選んだ理由を教えてください。

瑕疵担保保証が義務化される前から、私たちは外部保証を重要視してきました。地盤の品質保証もその一つです。お客様にとって安心感が持てる会社でありたいという思いから、地盤品質保証の導入に至りました。

 

川崎市には擁壁が多く、地盤の状態や保証内容に関する詳細な説明が必要なのですが、JHSさんは情報をわかりやすくご提供いただけるので助かっています。どんなときでも、工務店として説明しやすいような形で情報を届けてくれます。高い専門性や技術力があるので、信頼しています。

 

「お客様の幸せづくり」のために家をつくっていることを知ってもらって、これからも一緒に頑張っていただきたいです。

 

 

左から小山常務、黒川(JHS)、貞松会長、桜田さん

 

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JHS LIBRARY 編集部

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