いつでも誰にでも 「親切に、丁寧に、きっちりと」/はなおか
注文住宅着工数県下トップを14 年間にわたり維持し続ける『はなおか』さん。直近の年間引き渡し棟数は164 棟。地元では「はなおかさんで家を建てた」ことがステータスになるほど信頼が厚い住宅会社です。徳島の人たちを引き付ける、はなおかさんの魅力に迫ります。
取材・文 = 竹葉理子(新建ハウジング)
心の羅針盤は「行動指針」
はなおかさんの経営理念は「正直に王道を行く」。社訓は「親切に、丁寧に、きっちりと」、そして社風は「自由活発」です。これら三つが花岡秀芳社長をはじめ、社員、専属大工さんなど同社の家づくりに携わる人全員の行動指針になっています。くじけそうになる困難があったとしても、この言葉に立ち返れば、迷いが消え、正しい行動につながる―。
「会社の考え方が明確にあれば、あらゆる局面で怯まない。若手社員でも先輩に意見が言える。それは自分を守り、ひいては会社を守ることにつながる」と花岡社長は力強く語ります。

「くじけても、くじけても正直に王道を行けば怯むことはない」と話す花岡社長
家づくりには様々な立場の多くの人が携わります。ときにはベテランの域にある人でも間違いがあるかもしれません。そんな時、行動指針に従えば、若手社員でも指摘し修正できるということ。「そうすれば、将来にわたって恥ずかしい仕事として残ることにはなりません」と花岡社長。
家づくりの全ては「人」に由来する
あらゆる人に「親切に、丁寧に、きっちりと」。この社訓は、お客様はもちろん外注先、さらには同社を訪れる郵便局員、宅配業者にまで及ぶものです。
同社が毎月のように行っている完成見学会や各種イベントには平均で180組600人もの人が来場するそうで、ファンの多さが窺えます。「中には、家を建てることとは関係なく、毎回顔を見せる人もいるけど、それでもいい」と花岡社長は笑います。

完成見学会は平均で180組の集客。圧巻のブランド力が伝わってきます。
三つの行動指針を実現するのは社員や現場の大工の皆さん。そのため花岡社長が力を入れるのが“人を育てる”ことです。はなおかの家づくりを支える “人を集める”ことには特に力を入れ、県外の大学の建築学科も訪れます。「経歴や資格よりも品性が大事。多様性の観点からいろいろな人に集まってもらっている」と話します。
2018年度の新入社員は10人(中途1人含む)。1年かけてしっかりと研修を行います。その内容は、住宅の基礎から、住宅ローンや点検など多岐にわたります。「地盤調査データの読み方」の研修で協力したジャパンホームシールドの井上所長が「これほど充実した新人研修は少ない」と感心するほどです。

基礎となる講座のほか先輩社員が講師となったり、協力会社や銀行などの外部講師をお招きした研修も毎週行っているそうです。
さらに、はなおかさんでは、社員遠足のほか、アジアをはじめニューヨークにまで出向く社員旅行を「人としての幅を広げ、視野も広がるから」と行ってきました。また、60人近く在籍する大工さん向けにも感謝の気持ちを込めて、毎年「焼肉大会」を開催したり、一泊二日の旅行なども19年連続で行っているそうです。いずれも大工さんや社員の希望を聞き入れて企画しています。
どうしてこれほど充実した社員向けの活動を? この問いに花岡社長は「周りの人が楽しんでいる様子を見れば自分も嬉しくなるでしょ」とにっこり。こうした取り組みが社員の一体感の醸成に繋がっているそうです。
「正直」な目で道を切り開く
「この会社でよかった」と社員の皆さんが感じている、そんなはなおかさんですが、ここに至るまでは容易な道のりではありませんでした。
スーパーマーケットの経営からスタートした花岡社長ですが、人口減少など社会環境の変化もあり、閉店を考えているときに並行して水道施設の浄水処理管理の事業を開始。その後、“第二創業”を模索していた時に花岡社長がやりたいと思ったのが、以前から興味を抱いていた住宅産業でした。
大きな変化です。それまでとは全く違う業界。
「肉や魚を切っていた者に住宅の何がわかる」と誹謗を浴びたこともあったそうですが、異業種だったからこそ見えてきた、慣例にとらわれない正直な仕事や視点がこの住宅業界で生きました。
一度建てたら長年住み続ける家です。お客様のため、そして将来にわたって恥ずかしくない仕事のため、布基礎に比べて強度が高いとされる一体打ちベタ基礎、構造用合板を採用した剛床構造、余裕のある電気配線数の確保、照明なども含めた完成価格の提示など、他社では省くことや、煩わしくて目を背けがちなことにも、“正直に”取り組んできました。

はなおかのパンフレットOwner’s Voiceより「大工への平均的な評価」(5段階評価)はすべての項目で4.5以上の評価です。「親しみやすさ」での高評価が光っています。
「四国でいちばん大切にしたい会社」の責任
こうした地道な歩みが少しずつ積み上がり、地元での信頼の厚みとなりました。その証の一つが「第6回四国でいちばん大切にしたい会社大賞」(四国経済産業局主催)の受賞です。この賞は社員や顧客、地域から必要とされ、「大切にしたい会社」と思われている企業等を表彰するものです。

「第6回四国でいちばん大切にしたい会社大賞」(四国経済産業局主催)の受賞式
応募には、「黒字経営」「人員整理、会社都合による解雇をしない」といった経営の安定性はもちろん、「仕事と子育て・介護を両立するための環境を整備している」ことなど現在社会的な議論がなされている「働き方改革」の手本となるような9項目の条件が課せられています。
実は、「まだまだ発展途上にある会社。応募は早い」と花岡社長は躊躇したそうです。しかし「やってみましょう」と意欲を示したのは社員の方でした。「自由活発」な社風が応募を後押ししたのです。そして見事受賞となりました。
しかし花岡社長は手放しには喜びません。「嬉しい気持ちは3割、残り7割は“きついなあ”と思った。受賞に恥じない、将来にわたる責任が生まれた」と感じたといいます。
「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」のはなおかさんは、企業が大切にすべき五つを実践していることを意味します。その五つとは①社員とその家族を大切にする②外注先・下請け企業の社員を幸せにする③顧客を幸せにする④地域社会を幸せにし、活性化させる⑤自然に生まれる株主の幸せ。これはまさに、顧客に感動を届けるためにはなおかさんが実践している会社のあり方そのものです。
また、「OB顧客といつでもコミュニケーションが取れる場が欲しかった」(花岡社長)ことから事務所別館「hanaco」を昨年11月にオープン。社員だけでなく現場に携わる大工さんも増えたため、2階には皆が集合できる大きな会議室も設けられました。

事務所別館「hanaco」は社名の「はなおか」と“コミュニケーション”の頭文字の組み合わせ。オープンイベントでは2日間で2,176人が来場し大盛況。地域社会とのつながりの場がまた一つ増えました。
「hanaco」の木を生かしたそのつくりはモダンでありながら、温かみが感じられる建物に仕上がりました。この場所からまた、新しい「はなおか」が始まることでしょう。
最後に、JHSへ一言お願いします!
以前まで地盤改良工事のデータは営業と工務しか持っていないため、データが欲しくても担当者を待つしかありませんでした。JHSのオンラインサービスなら当社の物件データ全てをいつでも見ることができ、日程管理もスムーズになりました。改良工事率も分かるので大変便利です。

JHS LIBRARY 編集部

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